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zoom RSS 『縮尻鏡三郎』 佐藤雅美

<<   作成日時 : 2005/05/16 08:28   >>

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 例によって、某国営放送でドラマ化されたのをきっかけに(読んだのは大分後だけど)読んでみたら、佐々木すみ江扮するおばあ様は原作にはない、オリジナルだったのですね。ちょっと残念。
 とすると、あれは「残九郎」の母上あたりをモデルに・・いやいや(^_^;)

 職を追われた「縮尻御家人」の大番屋の元締・拝郷鏡三郎が、持ち込まれる揉め事を解決する読みきり連作です。
 もっとも、最後の方で、復権をかけて長崎会所の実態を調べる命を受け、長崎で巻き込まれる騒動は、いかにもこれで完結編、という雰囲気を漂わせ、江戸の市井の話、お隣の御家人さんの困ったちゃん(謎)の話とは、また違っていますが。
 長崎編、あちこちにお目付がいたのが、お気の毒だったかも(謎)

 この作者の小説は、他にもいくつか読んでますが、経済問題のゴタクがあったり、何も悪いことしてなくても左遷されたりとか(あっ、「鏡三郎」もそうだっけ)、主人公の苦労が報われなかったりという、浮き世のやりきれなさからくる読後感のちょっとすっきりしない感じ(汗)がすることが多いような気がしますが、この物語はそうしたテイストをにじませながらも、ハッピーエンドで終わったように感じられました。

 国営放送では、鏡三郎は中村雅俊、おりんは富田靖子でした。 (No.5)

(1999.4 日本放送出版協会/2002.6 文春文庫)

上巻
「春の浜風」
 大番屋の元締・拝郷鏡三郎のところに、大番屋に繋がれている平吉の父・弥兵衛が尋ねて来ます。平吉は、喧嘩相手の腕をへし折ったのですが、弥兵衛はなんとか小伝馬町の牢に送らないで済むようにと考えます。鏡三郎は、引き合いを抜くため、矢車屋のおりんを紹介します。

「思案投げ首」
 鏡三郎は、公事方勘定奉行の三枝能登守から、『長崎会所五冊物』の解読を頼まれます。
 かつて鏡三郎が、留役を首になったいきさつが書かれてます。

「おしまの復讐」
 隠売女の容疑で多くの女たちが捕まりました。その中のおしまの夫、俵屋太兵衛は何とか女房を助けたいと、鏡三郎に泣きつきます。

「二人きりの納涼」
 鏡三郎は、地主の津田織部の息子の縁談を持ち込みますが、織部は破談を申し入れます。一方、鏡三郎は能登守夫妻の世話で、見合いをすることになります。

「象牙の印籠」
 三枝能登守が鏡三郎を尋ねてきて、毎朝出羽守の駕籠を拝む女がいるという話をします。女は、昔出羽守が「大岡裁き」で結婚したのですが、その後離婚し、再び訴訟ごとになったのでした。

「逃げだした殿の花嫁」
 将軍御成の日、若い侍が六尺手廻りに絡まれますが、六尺手廻りは取り押さえられます。若い侍は逃げ、後には大小の刀二本が残されました。

「耐える女」
 呉服・太物商いの仁助は、およねという妻がいましたが、およねの朋輩だったおかよに押して不義に及んだ、とおかよの兄に訴えられました。仁助は、見に覚えがないと主張します。

「甚兵衛さんの手妻」
 越後から出てきた丸太屋甚兵衛は、金太という男から城代に御祝儀御能を見に行ける鑑札を二分で買い取りますが、騙りだったようです。
下巻
「二百七十数年来の怨念」
 津田鴻之介に見合いの話が持ちあがります。相手は織田の一族で、於絲は出羽守の屋敷を借りたいと、鏡三郎に頼みます。

「濡れ手当」
 浅草蔵前の大道沿い床見世普請願いに関して、事情が事前に漏れていたのではないかとの疑いが起こり、鏡三郎が調査を頼まれます。

「毒婦おくめ」
 鏡三郎を尋ねてきた湯屋の八郎兵衛は、殺しの容疑で仮牢に預けられた手代の治助は、濡れ衣だと言います。しかし治助は、当日の行動を明らかにしません。

「岡っ引の不用心」
 大名・松葉駿河守の屋敷に仕えるおとよは、寺社奉行の蠣坂淡路守の屋敷に駆込訴をしますが、屋敷に戻されます。その後、おとよとおとよの仕える先殿の側室・保野は屋敷に押し込められていると、おたね婆さんは言いますが・・。
 「蠣坂」のモデルは脇坂淡路守なんでしょうね。

「花嫁の引き出物」
 織部の賄用人・渡辺卓蔵が、駕籠訴に及びました。卓蔵は、織部に立替金が五百八十五両あると言います。

「添い寝する女」
 将軍家斉のもとに、長崎会所の経営が思わしくないという報が入り、鏡三郎が調査することになります。
 家斉と老中たちの関わりが、詳しく説明されています。

「暗闇での一撃」
 長崎に着いた鏡三郎は、酒に酔って眠り込み、気が付くとおすみという女が添い寝していました。

「元の鞘」
 襲われた鏡三郎は、おすみに引き取られました。傷が癒えてからも、鏡三郎はおすみのもとに通い続けました・・。


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『縮尻鏡三郎 上下』 佐藤正美著 日本放送出版協会
拝郷(はいごう)鏡三郎という縮尻(しくじり)御家人が主人公の連作短編です。 鏡三郎はもとは勘定所御留め役という御家人唯一の出世コースに乗っていたのですが、老中の密命である調査をしたところそれがこじれ泥をかぶる形で役目を離れいわゆる縮尻御家人... ...続きを見る
院長の身辺雑記blog 東京都杉並区丸の...
2006/11/03 12:21
[本]
  「縮尻鏡三郎」佐藤雅美(図書館)を読む。面白い。 江戸の訴訟もの。主に短編の連続で長編にしてる。 調べて書く作家、という感じでドラマ性は程々。と思ったら直木賞も獲ってるのか意外。 本作は勘定奉行を辞めたリストラ浪人が、大番屋という民間*1の仮牢の責任者になり ...続きを見る
「短歌と短剣」探検譚
2009/07/26 03:52

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