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zoom RSS 『黒と茶の幻想』 恩田陸

<<   作成日時 : 2006/04/28 22:34   >>

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言うまでもなく、『三月は深き紅の淵を』の第一章に登場した本。 『麦の海に沈む果実』の「梶原憂理」という人物が出てくることで「三月ワールド」を行ったり来たりする。

それはそれとして『黒と茶の幻想』単独で見ると、語られているのは結局、蒔生なのではないかと思う。蒔生の再生の物語が友人達の視点も借りて明らかになる。

いまだに彼を愛している利枝子、意識しているかどうか蒔生を異性を見るように見ている彰彦、子供の頃の蒔生の言葉で今の自己を作り上げた節子。
憂理のことだけでなく、紫織を含めても、主な登場人物すべてに噛んでいるのは彼である。
しかも、つい最近まで、紫織、憂理と会っていたのである。
(なお、彰彦だけが他の三人と高校が違うのは、詩織のことがあるからだろう。同じ高校だったら、女性陣も事情を悟っているに違いない<ちょっと野暮な発言)

高校・大学で親しかったグループでのY島での登山となると、いわば『夜のピクニック』の20年後の話のようなところがある。その彼らが卒業後なんとなく連絡があって、そこそこ付き合っているというシチュエーションをわが身に照らし合わせ、女性書き手のものを女性読者として見ると、面白いことに彰彦よりもむしろ蒔生の方が、あ、こういうやついたよな、と思わせるものがある。(それほどうまく描写されている)
もちろん、実在の人物がここまで完璧ではないけれども。

自己完結している蒔生を「こちら側」に強引に引き寄せるのはやはり常識人の節子である。節子は、幼児体験、そして現在置かれている状況のシビアさ故か、蒔生との間合いの取り方が絶妙である。利枝子や彰彦は距離が近すぎ、一歩間違うと一緒に流されかねない。

物語の最後で、約10年後再び旅行することが企画されている。全く余計なお世話だが、その時には恐らくは節子と蒔生がシングルで、他のメンバーから見たら余計な気を回す要素になっているかも知れない。



黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

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黒と茶の幻想 恩田陸
黒と茶の幻想 (上) ...続きを見る
白ブタさん
2007/05/14 22:23
恩田陸【黒と茶の幻想】
利枝子、彰彦、蒔生(まきお)、節子。大学時代の同級生4人が再会し、都会の喧騒を離れて緑あふれるY島へ旅に出た。 ...続きを見る
ぱんどらの本箱
2007/11/20 15:11
黒と茶の幻想
作者:恩田 陸装丁:北見 隆デザイン:京極 夏彦 with FISCO発行:講談社華麗にして「美しい謎」恩田 陸の全てがつまった最高長編──目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない... ...続きを見る
月華堂
2008/07/05 10:07

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