『かまいたち』  宮部みゆき

 『かまいたち』には、宮部みゆきの初期の作品が4編、収められています。
 注目されるのは、後半の2話、「迷い鳩」とu騒ぐ刀」、この2つに登場する、普通の人には見えないものが見えるお初が、後の『震える岩』『天狗風』の「霊験お初」の原型であることでしょう。ここでの設定は、お初は岡っ引き六蔵の妹で、義姉のおよしと一緒に「姉妹屋」を切り盛りし、お初と六蔵の間には直次という兄がいて、直次が根岸肥前守とコンタクトがあり・・という設定で、『震える岩』などとは微妙に設定が違っています。

 実は「かまいたち」「師走の客」そして「迷い鳩」と、4作中3つまでが、N○Kの『茂七の事件簿』に取り上げられているのですね。シリーズが進むにつれて、原作本が増えているような・・(^_^;) (No.19)

(1992.1 新人物往来社/1996.4 新潮文庫)

「かまいたち」
 江戸市中では「かまいたち」と呼ばれる辻斬りが出没しています。おようは、医者の父・玄庵の帰りが遅いのを案じて家を出ますが、黒装束の男が人を斬るところを見てしまいます。男は、おようを斬らずに立ち去り、おようは番屋に駆け込みましたが、現場に行くと死骸は消えていました。

「師走の客」
 千住上宿の旅籠・梅屋に毎年、宿代を干支の金の細工物で払う、常二郎という客が来ます。十二年たてば、伊達家に納める物と同じ一揃いが集まるという話です。巳の置物の年、常二郎は梅屋夫婦に相談を持ちかけます・・。
 犬の「鉄」のお手柄(笑)

「迷い鳩」
 岡っ引き六蔵の妹・お初は、先を行く商家の内儀らしい女の袖に、血が付いているのを見ます。しかし、それはお初の目にしか見えないものでした。
 後の「霊験お初」の原型となる話。

「騒ぐ刀」
 同心・内藤新之助が、刀を六蔵のところに預けました。その刀は、毎晩うめき声をあげ、みなにはうめき声しか聞き取れないのですが、お初には「小咲村の坂内の小太郎に虎が暴れていると伝えてくれ」という言葉が聞こえました。
 これも「霊験お初」の話です。

時代小説ワールド



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この記事へのコメント

ゆうき
2005年07月31日 00:25
TBありがとうございます♪
時代小説をとても沢山読まれているのですね。
私は今までは時代小説が苦手であまり
読まなかったのですが、宮部みゆきの時代物を
読んでから、しばらく宮部さんの時代物を
続けて読んでました。苦手意識が少しだけ
払拭された感じです。
これからも時々遊びにきますね。
では、('-'*)ヨロシク♪
やこめっち@管理人
2005年08月01日 23:37
こちらこそよろしく~(^_^)

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