『恵比寿町火事 公事宿事件書留帳八』 澤田ふじ子

表題作のほか「寒山拾得」「神隠し」が印象に残った。

「仁吉の仕置」
 飴売りの仁吉は、かつて仁吉と同じく油屋・三春屋に奉公していた嘉助から、若旦那であった吉三郎が江戸から戻ってきた、と聞かされます。仁吉は、三春屋がつぶれてから、吉三郎の母・お松の面倒を見ていました。

「寒山拾得」
 お信の長屋から鯉屋に向かう途中、菊太郎は鴨川の岸辺に名画の断片が引っかかっているのに気付き、鯉屋に持ち帰り、乾かします。菊太郎は、丁稚の鶴太と正太とともに鴨川に戻り、絵を拾い集めます。

「神隠し」
 瀬田の蜆を売りに来る武蔵から、お与根が蜆を買おうとした時、若いお店者らしい男が武蔵へいちゃもんを付け、桶をひっくり返して逃げました。不審に思った菊太郎は、武蔵とともに瀬田に行き、そこで蜆の佃煮の作り方を教えます。

「恵比寿町火事」
 盗っ人の大沼の蔵六は、素顔で押し込みを働き、普段は変装して暮らしています。床山の新七が、高札場の似顔絵を見て不審に思ったのを見て、蔵六たちは危機感を抱きました。

「末期の勘定」
 扇商の広瀬屋新左衛門は、死ぬ間際に妻のおふさ、息子の新助に、三十年前に乾物問屋・内海屋の手代・喜助からくすねた三十両で、店を持ったのだと打ち明けました。新左衛門は喜助につぐないをして欲しいと頼みましたが、新助や番頭の多兵衛にはその気がありませんでした。

「無頼の酒」
 蔵破りの手下で隠岐に配流になっていた安五郎が、京に戻って来ました。仲間と何事か企んでいるようなので、曲垣染九郎が内偵をはじめます。菊太郎は、安五郎が惚れたお絹とまっとうに暮らせるようにと考えます。お絹は、貢いだ男が料理屋の娘に乗り換えてから、大酒を飲むようになっていました。

(2003.6 幻冬舎 2004.12 幻冬舎文庫)

時代小説ワールド


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この記事へのコメント

tarkish
2005年10月17日 17:38
自分も「恵比寿町火事」は好きな巻ですね。
表題の「恵比寿町火事」の話が一番好きですね。
初めて菊太郎が敗北するというか、考えを改めるのが印象的でした。
性善説を地で行くような話ですが、実際こういう場面で自分は動けるものだろうかと思います。

あ、それから先日の「馬の骨」トラックバック
させて頂きました。

では、また。

http://plaza.rakuten.co.jp/syohyo/
やこめっち@管理人
2005年10月17日 23:53
コメントありがとうございます。
このシリーズ、さらっと流しているようでテーマは案外深いですね。

「馬の骨」実は時々書き換えたりしてますが(^_^;)よろしくお願いいたします。

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